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何度か実写化のウワサは聞こえていた、押井守原作・沖浦啓之監督で2000年に公開された「人狼 JIN-ROH」が韓国にて実写化されるとのニュース(ハフポスト2018/5/29)、今年7月に韓国内にて公開とのこと。

そもそものこの作品の背景は60年台日本におけるパラレルワールド物で、反政府テロ組織と第三の警察組織との攻防に、テロリストの少女と隊員との関係を絡めたストーリーなんだけど、現代の韓国に舞台を置き換えて描くっていうところに随分の無理が生じるのではと心配になります。

報道によると、南北政府の統一宣布(映画では2029年の近未来)に対し、それに反対するテロ組織と鎮圧部隊との攻防を描くのだそうな。事前情報だけで既に嫌な予感がします。

とは云えもともとの大元は押井監督の第一回実写作品「紅い眼鏡(1987年)」。これも軍事オタク趣味丸出しの甲冑を使ったプロモーション映像が紆余曲折を経て映画化されたようなもので、ストーリーの裏付けなどはつじつま合わせで作られたものだったはず。それを一連のサーガとまで呼ばれるまでに成長させた手腕、というか妄想の大きさには感服します。

押井監督によると、そもそも映画などというものは虚構の産物であり、その2時間をいかに気持ちよく視聴者をその虚構の世界に没頭させるか、リアリティを積み重ねることで「隙間を埋めていって壮大な嘘を突き通す(ひとまず、信じない – 情報氾濫時代の生き方 (中公新書ラクレ) 2017年)」ことらしいので、ここまで息長く続くシリーズにもなり得たのでしょう。その隙間を埋める行為そのものが本来のオタク的な行為の本質だったとは云いすぎでしょうか。

さて韓国実写版、見た目の禍々しさや派手さに惑わされず、2029年らしいリアリティとそれを裏打ちする壮大な嘘に期待して公開を待ちたいと思います。

ちなみに沖浦監督の「人狼 JIN-ROH」は押井さん原作を大筋としながら、主役二人の関係と赤ずきんの童話が絡み合う作品で、その流麗かつじっとりと湿度を含んだカットの殆どを手書きセルアニメで実現するというもの凄い映像美の作品です。オススメ。

上の写真にあるのは2009年に学研プラスから発売された、一連のサーガを裏打ちする歴史書「ケルベロス東京市街戦―首都警特機隊全記録 (Gakken Mook)」、全部虚構ですが(笑)。同じシリーズでガンダムの一年戦争戦記の歴史書も出てましたね。




広告制作ディレクター & サウンドデザイナー。広告制作の傍ら、Ko ASHIDA・rudimentary echo・sizk名義などで楽曲制作・インタラクティブメディア制作を行っています。とにかくなんでも「つくる」のが大好き。音楽・料理・DIYなど思いついたものをどんどん作ってます。



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